改札口から外へ出るための階段です。
初めて見た瞬間は、「面白いデザインだな、手すりが波線になってる」と思ったのですが、手すりのついている壁に貼ってあったボードが目に留まり、これはデザイン性を求めたものではなく、「杖のように利用できる」ことを知りました。
たしかに。
波状の手すりを実際に力を入れて握ってみると、垂直方向に力を入れることができ、歩きやすそうです。
たとえば、捻挫など怪我をしたときの階段の昇降を思い出してください。
階段を昇る動作はそれほどでもないのですが、階段を下りる動作のときに予想外に足に重力がかかり、ひどく痛みを感じたり。
足というものは、普段意識している以上に負担がかかっているのではないでしょうか。
ありふれた階段の手すりのように傾斜をつけた1本の長い棒だと、「手すりを掴む」という感覚ですが、
波状に成形した手すりだと、各段で「体重を手すりに預ける」という感覚になります。
手すりがそれほど必要ないと思う時にはにはどちらでも良いのかもしれませんが、
手すりを必要とする時には使いやすいものになります。
そしてこれは結果なのかもしれませんが、波線が軽やかなリズムを生み出し、視覚的にも楽しさがある。
ユニバーサルデザイン、バリアフリー、Webのアクセシビリティなど、障害を持った人への配慮という観点で語られることが多いと思いますが、言葉そのものは本来、そのような意味を単独で持つものではないと思います。
ある物を使おうとする人であれば、誰にでも、どんな条件でも、使えること、使いやすいこと。・・・「誰にでも」というところがポイントだと思います。
特定の条件の人向けに作るのではなく、さまざまな条件への適応を包括して作るということ。
ちなみに、この手すりは滋賀県立大学工学部・人間融合工学チームとの共同研究。研究成果は「機械学会・振動学会」にて論文発表されているということです。