2009年12月20日

【その後、階段の波状の手すりに敏感になっています】

10月に、京王線調布駅の「波状の手すり」について書きましたが、一度感心してしまうとあちこちで気になり始めるようです。

先日、たまたま通りすがった2カ所でも見かけました。

日本橋にある水天宮(最寄り駅は、東京メトロ半蔵門線の水天宮前駅)の階段。

20091220-01.jpg

東京メトロ明治神宮前駅の3番出口への階段。

20091220-02.jpg

これらは今までもこの形の手すりだったかなぁ・・・と考えても思い出せません。
でも、きっとまだまだあちこちで見つけることができるような気がします。

ただ、ちょっと思ったことなのですが、
この波状の手すりの波長は、階段の段に合ってないと意味ないですよね。

階段の一段の奥行きは、場所によって異なるであろうと仮定すると、波状の手すりには規格サイズというものはないのかな?
規格サイズが無いとすると、手すりを波状にするのにはコストがかかるのでは・・・

これは、本日の時点ではちょっとした思いつき的疑問のままです。
少し調べてみたら何かわかるのかしら。
posted by SUMICO at 19:01| Comment(0) | ユニバーサルデザイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月01日

【万人の感覚の違いは吸収できない? - エレベーターのボタンの場合】

エレベーターであれば内側に必ず付いている、このボタン。

triangle-close.gif  triangle-open.gif

「閉じる」ボタンと「開く」ボタンです。

私の知人に、このボタンをどうしても反対に押してしまう人がいました。
エレベーターに乗るなり、全員乗り込んでいなくても「閉じる」ボタンを押すのです。
そして、閉じかけた扉に驚いて、隣の「開く」ボタンを押しなおす。

ほぼ毎回同じことを繰り返すので、ある日「どうしてボタンを押し間違えるの?」と質問してみました。
すると、帰ってきた答えが「矢印の向きが反対だから」。

? 矢印の向きが反対・・・?

更に質問してみると、こういうことだと分かりました。

「三角形のとがった方が矢印の向きだということは分かっている。しかし、自分にしてみると、この三角形は矢印ではなく広がりを示す図形に見えてしまう。」

説明すると、こういうことです。

「閉じる」ボタンは2つの三角形の矢印が内側を向いていますが、これが、2つの拡声器のようなイメージで、「外側に広がっていく = 扉が開く」という状態を連想してしまうというのです。

triangle-close.gif

「開く」ボタンも同じで、「内側に向かって広がる = 扉が閉じる」という状態を連想する」。

triangle-open.gif

その人は、このような矢印なら間違えないかも、と言っていました。

arrow-close.gif  arrow-open.gif

ピクトグラム。小さな面積に含まれた小さな図形やイラストだけで情報を伝えてくれますが、その難しさを考えさせられた瞬間でした。
たいていの人は、エレベーターに初めて乗ったとき、「これが閉じるボタン、これが開くボタン。矢印の向きね。」と教わると、そのまま疑問を持たずに学習すると思います。
しかし、人によっては(おそらくその人の経験や感性に依存することだとは思うのですが)、「教えてもらったので意味は知っているが、自分にはどうしても一瞬別のものに見えてしまう」ことがあるようです。

人による感覚の違い。
これを全て吸収し、誤解の生じる余地がない、完璧なデザインというのは無いかもしれません。
しかし、様々なパターンを想定して最良と思われるデザインを考えることは、みんなが幸せになるための重要な要素なのかもしれないと、考えています。
posted by SUMICO at 00:58| Comment(0) | ユニバーサルデザイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月27日

【杖のように利用できる階段の手すり - 京王線調布駅】

京王線の調布駅で、こんな手すりを見かけました。

20091027-01.jpg

改札口から外へ出るための階段です。

初めて見た瞬間は、「面白いデザインだな、手すりが波線になってる」と思ったのですが、手すりのついている壁に貼ってあったボードが目に留まり、これはデザイン性を求めたものではなく、「杖のように利用できる」ことを知りました。

20091027-02.jpg

たしかに。

波状の手すりを実際に力を入れて握ってみると、垂直方向に力を入れることができ、歩きやすそうです。

たとえば、捻挫など怪我をしたときの階段の昇降を思い出してください。
階段を昇る動作はそれほどでもないのですが、階段を下りる動作のときに予想外に足に重力がかかり、ひどく痛みを感じたり。
足というものは、普段意識している以上に負担がかかっているのではないでしょうか。

ありふれた階段の手すりのように傾斜をつけた1本の長い棒だと、「手すりを掴む」という感覚ですが、
波状に成形した手すりだと、各段で「体重を手すりに預ける」という感覚になります。

手すりがそれほど必要ないと思う時にはにはどちらでも良いのかもしれませんが、
手すりを必要とする時には使いやすいものになります。
そしてこれは結果なのかもしれませんが、波線が軽やかなリズムを生み出し、視覚的にも楽しさがある。

ユニバーサルデザイン、バリアフリー、Webのアクセシビリティなど、障害を持った人への配慮という観点で語られることが多いと思いますが、言葉そのものは本来、そのような意味を単独で持つものではないと思います。

ある物を使おうとする人であれば、誰にでも、どんな条件でも、使えること、使いやすいこと。・・・「誰にでも」というところがポイントだと思います。
特定の条件の人向けに作るのではなく、さまざまな条件への適応を包括して作るということ。

ちなみに、この手すりは滋賀県立大学工学部・人間融合工学チームとの共同研究。研究成果は「機械学会・振動学会」にて論文発表されているということです。
posted by SUMICO at 20:51| Comment(0) | ユニバーサルデザイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする