2009年10月05日

【サイン(記号)に必要なもの - 色と形】

まず、「赤」というキーワードだけが与えられたとします。
そこから何を連想するでしょうか?

郵便ポスト、神社の鳥居、赤信号、りんご、さくらんぼ、赤ワイン、いちごジャム・・・etc.
もしかしたら日常見慣れているランドマークやモニュメントが真っ先に思い浮かぶ人もいるかもしれません。

このように「色」だけをトリガーとした場合、その多くは身の回りにある物や個人の経験によって学習されたものなど、さまざまな事項が紐づけられていて、多くの人に共通の、ひとつの事柄に結びつかないのが通常です。

ではそこから、多くの人に共通の認識に結びつけるには、何が必要か。

色々あるでしょうが、重要な要素として「形」が挙げられます。

一番わかりやすいのが、街の中や建物の中などのあちこちに存在している、目印や標識などのサイン(記号)です。
ここに何があるか。ここは何のための場所か。
そういったことを示すために、色と形の組み合わせが表示されていて、私たちはそれに従って判断し、行動します。

さまざまなサイン(記号)は、ほぼ一定の色と形の組み合わせで表示されています。そのことにより、多くの人に対して「共通の意味や意図」をもたらすことができるわけです。

簡単な例です。
赤と青が並んでいます。

赤と青が並んでいます

これは何を意味するでしょうか?
では、これではどうでしょうか?

赤と青の並び方、これではどうでしょうか

さらに、これではどうでしょうか。

化粧室の表示になります

・・・化粧室の表示ですね。
赤、青が同じ明度の無彩色になった場合も、これは化粧室の表示であることが分かります。

化粧室の表示が無彩色だった場合

とすると、形の方が大切なのかな?という気もしますが・・・
こうだった場合はどうでしょうか?

形と色の組み合わせが逆

・・・一瞬、迷いますよね。

このように、一定の意味や意図を紐づけるには、色と形の組み合わせが適切である、ということを念頭に置く必要がありそうです。

ここでいう「適切である」とは、何らかの規格があるのであれば、その規格に則っている、ということが主な意味です。

ご参考までに、化粧室のサインですが、日本では工業規格「JIS Z 8210 案内用図記号」の中に、規定されています。

http://www.jisc.go.jp/app/pager?id=58999
日本工業標準調査会の上記URLで、JIS Z 8210のPDFデータを閲覧できます。
ご興味のある方は、アクセスしてみてください。
なお、上記PDFは閲覧専用でダウンロードはできません。


posted by SUMICO at 20:15| Comment(0) | 色彩について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【同じ色なのに、感じ方は違う】

何年も前、色彩検定のための勉強を始めた頃のことです。
複数の表色系を覚えるのに難儀して、「なぜこんなに細かいことを覚える必要があるのか」と思いながらテキストを読んだのを覚えています。

日常生活においては、さほど厳密に色を区別する必要はなく、ざっくりとした表現でも通じます。

たとえば「赤信号」。
「信号がシグナルレッドの時」
とまで言わなくても、
「信号が赤の時」で十分です。
もっとも、赤信号を見せて「信号が、今のように赤になっている時は、横断歩道を渡ってはいけません」というように教えていれば、単純に「赤」という言葉と「赤信号」が紐付けされるだけのことなのかもしれませんが・・・。

しかし、一方ではこんな例も。

これは私の体験談なのですが、友人にピンクの洋服を好んで着る人がいました。
紫の好きな私は、当時、紫の洋服を好んで着ていました。
ある日、その友人がめずらしく紫を主体としたプリント柄の洋服を着ていたので
「紫を着てるの、めずらしいね。」
と声をかけたところ、
「えっ、これはピンクでしょう。」
という答えが返ってきました。
その洋服の正確な色はもうウロ覚えですが、おそらく「茄子紺」(ごく暗い紫:7.5P 2.5/2.5)のような色を輪郭線にした、赤みの紫主体の花柄だったと思います。

つまり、同じ色を観ても、人によって感じ方が異なり、認識のずれが生じる場合があるということです。
同じ色を見ても、これがピンクの範疇と感じるか、紫の範疇と感じるかの認識の違いがあるのです。

日常生活の中では、こういったことは割と些細なことで、たいした問題では無い場合が多いと思います。

しかし、このような感じ方の違いは、シチュエイションによっては色を表現するための共通な「言語」が必要となる理由のひとつとなります。

たとえば、文房具でも毛糸でも何でもいいのですが、色に関する共通の言語がないと、その製品の「色」を一定の品質で大量生産することは難しいでしょう。物づくりには、たくさんの人が関与するからです。担当者が変わるたびに、人間の目にも明らかに違う色に見えるようでは、製品としての品質を保てません。

「色」は人によって「感じ方」が異なるもの。
個人間の差異が大きな問題にはならない場面と、個人間の差異は排除して厳密に色を指定する必要がある場面がある。

「色を扱う」ことのできるプロフェッショナルの重要性を示す、ひとつの要素でもあると思います。

参考文献:「JIS規格「物体色の色名」日本の269色」永田泰弘 監修 小学館
関連規格:規格番号 JIS Z 8102:2001「物体色の色名」
posted by SUMICO at 00:00| Comment(0) | 色彩について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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